リノベーション

「新しい」ではなく「自分らしい」家に。リノベーションの本当の意味

最近よく耳にする「リノベーション」という言葉。住宅の取得を考えている人の70%がリノベーションも考えているなんてデータも出ています。しかし、リフォームと同じように使われることも増えている「リノベーション」という言葉。その言葉の境界はとても曖昧になっています。

リフォームとリノベーションの違い。あえて区別するとしたら、私はこのように考えています。

古い設備や汚れた内装を修繕すること=リフォーム。
住まいや建物を改修して、空間を再構築し直し、「新しい価値」を与えること=リノベーション

ここでいう「新しい価値」とは世の中の誰かにとっての価値である必要もないし、一般常識や体裁に縛られる必要もありません。完全に、あなたとあなたの家族にとってだけの、素晴らしい価値を吹き込んであげるのです。

住まいを手に入れるって、お金がかかる・・・

日本で注文住宅を建てようと思うと、土地の購入資金に建築資金、思いの他かかる諸費用と莫大なお金が必要です。国土交通省の「平成24年度住宅市場動向調査」によると、注文住宅の土地+建物の資金総額は全国平均で3614万円です。都市部になれば、この金額の倍以上かかることも少なくありません。この金額は若い20代、30代はもちろん40代でも、けっこう厳しい価格ではないでしょうか。

これ以外にも、土地購入手数料や、ローンの保証料、引っ越し代金、家具購入代金などなど家を建てようと思ったら、もう本当にお金お金お金・・・何をするにでもお金が頭をよぎります。そうなってくるとオーダーメードのはずの注文住宅が、ハウスメーカーさんの標準仕様しか選べず、建売住宅と変わらない!という事態になってしまいます。もしくは、十分な資金が貯まるまで数年待つ、という選択肢になってしまうかもしれません。

でもそれは、本当に私たちがしたい暮らしなのでしょうか。

自分らしい暮らしをあきらめない

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どうせマイホームを持つなら…

  • 広いリビングで友達を呼んでホームパーティがしたい!
  • 子供たちと芝生の庭でバーベキューがしたい!
  • 緑や空が見える露天風呂のようなお風呂で手足を伸ばしてリラックスしたい!
  • お風呂から上がったらテラスでビールをぷはーっといきたい!
  • 子供のいないDINKSの今だからこそ、インテリアにこだわった大人の暮らしを楽しみたい!

などなど、そんな自分らしい暮らしをあきらめない!

そのための選択肢の一つとして、今注目を集めているのが「リノベーション」という考え方です。

リノベーションは古い住まいや建物を改修するため、多くの制約があります。しかしながら、その制約があるからこそ、いわゆる「標準」の空間が通用しません。既存の建物の持つ良い部分だけを生かし、さらに自分らしい価値や自分らしい暮らし方をプラスしていきます。

さらに、リノベーションは既存の中古物件を購入、もしくは現在住んでいる家を改修するため、新築の購入に比べて価格を安く抑えることができます。浮いた分のお金の一部を自分らしい暮らしのアイテム、(たとえばウッドデッキに予算をかけたり、お気に入りの家具を購入したり)に回すことで、さらに楽しい暮らしを生み出すことができます。

ピカピカ新品じゃない方が「逆にかっこいい」、という価値観

ヨーロッパでは、古い建物を何代にも渡って、時代にあった内装に変えながら住み続けている築100年以上の住まいをよく見かけます。

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アメリカでは自分の住まいをいずれ別の人に売っても価値が変らないように、というよりむしろ価値が高くなるように改装しながら住み続けることが一般的です。ヴィンテージという言葉が示す通り、丁寧に手をかけて育まれてきた古いものにこそ価値がある、という考え方が多く広まっています。

一方日本では、地震が多かったり木造の建物であるという理由から、土地の価格はあまり変わらないけれども、建物の価値は建てた直後から下がっていくもの。ましてや30年以上たった建物などは、その価値は0円に等しくなり、住む世代が変わるたびに既存の住宅を壊し、また新しいものに建て替えるという考え方が一般的です。

でもちょっと待ってください。

日本でもなんだか気持ちが落ち着く空間って、すべて新しくてピカピカした空間ではないはずです。時と共に味わいを増していく物や空間の良さが、今改めて見直されているのではないでしょうか。これからの時代、すべてをゼロに壊すのではなく、環境にもやさしく合理的な住まい方として、いまある建物を再利用して住むリノベーションという考え方が、日本でももっと広まってもいいはずです。

リノベーションの楽しさ、最大のポイントは?

最後に、リノベーションの最大のポイントは、DIYに向いているということです。

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自分らしい暮らし、を望む人の中には自分でペンキを塗ったり、棚をつくったりしてみたい!と思っている人も多いのではないでしょうか。重要な構造の変更や、電気・設備等資格が必要な作業、屋根などの高所作業はプロにお任せしたほうがいいと思いますが、壁のペンキを塗るなどの作業は初心者でも十分に可能です。

プロと同じように美しい仕上げにはなりませんが、自分たちでやったラフな質感は古さと新しさの入り混じるリノベーション空間の中では、驚くほど味わいとして感じられます。

また、自分たちで家をつくった!(少しだけど・・・)という思い出と自信は、今後のマイホーム生活の中でも必ず活きていく、素晴らしい体験だと思います。

頭の中が新築だけに固定されてしまう前に、一度リノベーションという選択肢も一緒に考えてみませんか?