再築
リノベーション

【実録連載③】築43年の家のまるごと断熱リフォームでここまで快適

今回で3回目の現場レポートとなる「再築の家」~築43年の家のまるごとリノベーション~です。

前回、耐震リフォームをしっかりと施し、地震大国日本での不安をしっかりとクリアしました。(前回のレポートはこちらから

しかし、ここは東北福島。日々生活していく中で、不安に思うのは地震だけではありません。ここ福島市は、東北で盆地ということもあり、雪の多い寒い寒い冬と、盆地ならではの暑い暑い夏が毎年訪れます。1年中快適に過ごすためには、夏涼しく、冬暖かく感じさせてくれるための断熱性能がかかせません。というわけで、今日は再築リフォームの要ともいえる、「断熱リフォーム」についてのお話を伺いたいと思います。

まずは窓です!

―佐藤さん、こんにちは。今回で現場レポートも3回目になりましたね。今日は断熱リフォームのポイントを教えてください。

「まず、家の中のあったかい熱の多くは、窓から逃げてしまっているというのをご存知でしょうか?」

―えっ、窓を閉めきっていてもですか?そうなんですね。なぜ、窓から熱が逃げてしまうんですか?

「家の壁は窓よりも厚く、断熱材も入っています。そのため壁は熱を通しにくくなっています。

しかし、窓はガラスだけであることと、日本で一般的なアルミサッシの断熱性が低いため、熱を通しやすいんです。

そのため、窓が室内でいちばん暖気を逃し、冷気を取り込む場所となっています。」

―ほうほう。そういえば、うちもアルミサッシです。冬は結露がひどいです。

「そうなんです。結露は断熱ができていないことのサインでもあります。だから“再築の家”の窓には、トップクラスの断熱性能をもつ、YKKAPのAPW330というLow-Eペアガラスの樹脂窓を標準仕様にしているんですよ。

トリプルガラス

―ちょっ、ちょっと待って。ロ、ロウイー?樹脂窓?はじめて聞く言葉シリーズがはじまりましたー。おいてかないでください・・・

「そうですね。ではガラスにつてはこの図を見てください」

断熱リフォーム

古い家だとガラスが1枚のこともあります。新しい家だと2枚のペアガラスというものが標準になっています。“再築の家”ではペアガラスにさらにLow-Eという金属膜をコーティングしたものを使用しています。2枚のガラスの空気層とガラス内側の金属コーティングにより熱の伝わりを軽減します。これは1枚の単板ガラスの約4倍の断熱効果なんですよ。

特に窓枠に注目!

「しかも、この窓で注目してほしいのはガラスだけじゃなく、このサッシ枠なんです。もう一回言いますよ。窓の断熱で大事なのは、何よりも枠なんです!」

―おぉ~、佐藤さん、気合入ってますね!2回言いましたね!

「一般的なサッシの枠はアルミでできています。アルミというのは、熱を伝える力が強く、冬寒い時にはキンキンに冷たく、夏暑い時にはさわれないくらい熱くなります。熱の影響を受けやすいということは、外部の気温によって室内の窓枠の温度も大きく変わってしまうのです。一方、樹脂はこの熱を伝える力、熱貫流率がとっても低い素材です。外がいくら寒くても暑くても、室内に影響を及ぼしにくいのがこの樹脂窓です。

樹脂サッシ

―すごいです!“トップクラスの断熱性能”というキャッチコピーにYKKAPさんと佐藤さんの自信を感じますね!そしてこれが標準仕様というのがまたびっくりです!

「断熱性能や耐震性能など、毎日を安心して快適に過ごすための性能に、オプションやバリエーションは必要ないと思うんです。だからこそ、絶対自信をもってご提案できるものだけを標準仕様にしました」

―うーん!その心意気がかっこいいです!

断熱リフォームにぴったりのウレタン吹付断熱

―窓を攻略したらお次はどこですか?

「壁と天井の断熱です!“再築の家”では、ウレタン吹付断熱という断熱工法を行っています。」

―他の断熱材と何が違うんですか?

「ウレタン吹付断熱というのは硬質ウレタンフォームを現場で水の力により発泡し膨らませて、それを壁に吹付け施工する断熱材です。

従来の繊維系断熱材、いわゆるグラスウールなどは現場の施工部分に合わせてカットし、貼っていくため細かい部分に隙間ができてしまうことがありました。ウレタン吹付断熱は硬質ウレタンフォームを現場で発泡し、吹付け施工するため細かい部分にも隙間なく充填でき、接着性も高いため安定した断熱効果を得ることができます。」

ウレタン吹付け断熱

―そうか、吹付でもこもこしているから形が自由自在なんですね。

「そうなんです。私はこの“ウレタン吹付断熱”という工法はリフォームにぴったりだと考えているんですよ。リフォームの現場は既存の柱や梁など入り組んでいる部分も多いのですが、吹付断熱であれば、この入り組んでいる部分にも隙間なく、簡単に断熱することができます。

また、吹付量によって厚みも自由に設定できますので、できる限りの厚みを施工してあげることで断熱性能をさらに高めることができます。」

ウレタン吹付け断熱

―この吹付断熱で壁や天井をぐるっと魔法瓶のように覆ってしまうわけですね。

「はい。そして“再築の家”では床下にもこの吹付断熱を施しています。木材の収縮や痩せに対しても、接着性が高い吹付断熱であれば隙間ができにくいため断熱効果が持続しやすいのです。」

ウレタン吹付け断熱

 

最後は気密性能アップ!

「そして断熱性能とセットで考えなくてはいけないのが気密性能です。」

―あぁ!よく高気密・高断熱の家って聞きますね!でもあれって新築だけかと思っていました。

「そうなんです。これまで、リフォームではもともとのお家に隙間がとても多い作りの為、気密性能を部分的に上げても効果が薄いので、気密に関してはあまり重要視されていませんでした。というよりは、リフォーム工事前の状態よりはもちろん気密レベルは上がっているのですが、現代の新築レベルには及ばなかったというのが実情でした。

しかし、“再築の家”では家全体を丸ごとリノベーションしますので、新築と同じように木の柱と梁の状態から家全体の気密性を上げることができます。まずは外部の空気が漏れそうな窓まわりや換気扇、水道管の周りなどを、空気が抜けないようにしっかりと気密テープを巻いていきます。内部では先ほどのウレタン吹付断熱により可能な限り隙間のない断熱を施します。そして、その上からこの緑のシートを一面に覆っていきます。」

気密性

―すごい色ですね。この緑のシートはなんのために行うんですか?

「これはナノバリアという気密シートです。気密性能が低ければ、いくら断熱をしても効果は激減してしまいます。このシートを断熱材の内側に張り巡らせることによって外からの隙間風を防ぎ、室内の湿気や暖かい空気が壁の中に入るのを防ぎます。

断熱リフォームでおさえるべき3つのポイント

今日は佐藤さんに断熱リフォームに必要な3つのポイントを教えていただきました。

  1. 「窓」・・・樹脂サッシとLow-Eペアガラスで熱の出入りを防ぐ!
  2. 「断熱」・・・ウレタン吹付断熱でおうちまるごと魔法瓶化!
  3. 「気密」・・・気密テープと気密シートでしっかりぴっちり高気密に!

いかがでしたか?耐震・断熱も新築のように、いや新築以上の高性能に生まれ変わりました。この後は内装の仕上げに入っていきます。さてさてどんな仕上がりになっていくのでしょうか?次回もぜひ楽しみにしていてください!

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