
不動産にも「相続税」は必須?仕組みを分かりやすく解説します!
配偶者や親が亡くなってしまい、その人の所有していた財産を受け継ぐことを一般的に“相続”と言います。この時にかかってくる税金としてよく耳にするのが「相続税」というものです。
財産の中には、不動産(家や土地)・現金(預貯金)・車といった“プラスの財産”のほかに、借金や税金(滞納していた場合)などの“マイナスの財産”も含まれていますが、これらを相続した場合「全ての財産に相続税はかかるのか?」「そもそも相続税はどのようにして金額が決まるのか?」。一度相続に関わったことのある人ならまだしも、今後のことを考えて調べ始めた人にとってはぜひとも知っておきたいところではないでしょうか?
そこで今回は、中でも家や土地といった不動産を受け継いだ場合にかかる相続税について、知っておいた方が良い基礎知識や、その計算方法について解説していきます。
そもそも「相続税」とは?基本をおさらい
「相続税」…配偶者や親が亡くなり、その亡くなった人(「被相続人」)から財産の移転を受けた場合に掛かる税金のことを指します。
【相続税のかかるもの、かからないもの】
一般的に、
- 不動産(家、土地)
- 現金(預貯金)
- 車
- 保険
- 有価証券
などは課税対象の財産です。しかし一方で、
- お墓
- 仏壇
- 仏具
などといった「祭祀財産」は対象外(非課税資産)です。相続税を考える場合には、まず相続する財産には何があるのかを把握しておくことが大切です。
【相続人の割合について】
相続人とは、その名の通り“財産を相続する人”のことを指します。よく映画やドラマなどで誰が財産を相続するか揉めるシーンを目にしますが、このような揉めごとを起こさないように各相続人が取得する財産の割合が予め民法によって決められています。(これを「法定相続分」といいます)
【相続人】配偶者と子供の場合⇒【法定相続分】配偶者1/2、子供1/2
【相続人】配偶者と直系尊属(父母など)の場合⇒【法定相続分】配偶者2/3、直系尊属1/3
【相続人】配偶者と兄弟姉妹の場合⇒【法定相続分】配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
なお、子供が数人いる場合はその子供間で均等に分配されます。
「不動産は金額が大きい分相続税もかかりそう…」と思った人必見!
先に説明した相続税は、主に相続や遺贈(遺言によるもの)によって財産を取得した個人(「相続人」)に対し課されるものなのですが、実は必ずしもかかるものではないのです!相続する全ての財産が一定の金額(規定の基礎控除額)以下であれば、そもそも課税対象にはならないのです。
【相続税の計算方法】
相続税の計算は以下の計算式になります。
【相続税額】=(財産総額①-基礎控除総額②)×相続税率③-税額控除④
①財産総額は、財産として受け取るすべての資産です。この中には、冒頭にもお伝えしたように、プラスの財産(現金、不動産、生命保険、株式など)とマイナスの財産(借入金などの負債資産)、非課税資産(前述のもの)があります。
②基礎控除額は、3,000万円+600万円×相続人数です。
③相続税率は、相続税の課税額に応じて変わります。
④葬儀にかかった費用は遺産総額から差し引くことが可能です。
不動産に相続税がかかるかどうかを判断するには、その不動産の“評価額”が重要!
相続財産について、上記でその計算方法を確認してきました。
現金や生命保険といった財産は、その額面=財産となりますが、住んでいる家や土地については、必ずしも購入した時の金額=財産の額というわけではありません。では、不動産(家や土地)に関わる財産の金額は、どうすれば分かるのでしょうか?
残された不動産の価値=一般的に“評価額”と呼ばれます。この“評価額”は、以下の基準で決まってきます。
□土地の評価額
基本的には、市街地であれば「路線価方式」※1、市街地以外は「倍率方式」※2により評価額が決まります。
※1 路線価(その道路に面している標準的な宅地の1平方メートル当たりの千円単位の価額) (参考サイト:国税庁HP「No.4604 路線価方式による宅地の評価」https://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4604.htm)
※2 倍率方式とは、固定資産税評価額(地方税法第381条≪固定資産課税台帳の登録事項≫の規定により土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(同条第8項の規定により土地補充課税台帳とみなされるものを含む。)に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。(参考サイト:国税庁HP(倍率方式)https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/02/04.htm)
□建物の評価額
「固定資産税評価額」がそのまま相続税における評価額になります。
ちなみにマンション等の集合住宅の場合は上記土地建物の評価額(マンション全体の評価額)×登記簿謄本に記載されている持ち分割合の額となります。つまり、何等かの財産相続を受け場合、不動産の評価額を含めたトータルの相続財産が先にご紹介した計算上で「基礎控除額」を上回らない限りそもそも相続税は掛からないというわけです。
知っておくべき相続税のこと
いかがでしたか?実際に計算をしてみると、相続財産があっても相続税がかからないというケースがほとんどだということが分かりますよね。
とはいえ、預貯金や不動産を相続する場合には、抜けているものはないか事前に確認しておくことが大切です。もしも自身での手続きが難しいという場合には、司法書士さんに手続きをお任せしてしまえばもれなくスムーズに進めることができるのでおすすめですよ!突然の出来事にも落ち着いて対応ができるよう、ぜひ事前に知識を身につけていってくださいね。
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